最強の「イノベーション理論」集中講義

イノベーションとは何か､その重要性や意味はどこにあるのか､どのようにイノベーションに取り組んでいけばよいのか､といったイノベーション論の中心的な議論や知見を､コンパクトにまとめており､初学者が知っておくべき内容はほぼ網羅していると思います。またその書き方も､問題を抱えたビジネスマンに対して､シュンペーターやクリステンセンら､イノベーションの有力理論家が順番に講義をしていく､というユニークなスタイルをとっており､わかりやすいものになっています。これまた初学者にはちょうどよいと思います。ただ初学者を対象としているとはいえ､イノベーション「理論」と銘打つのであれば､ドラッカーやゴビンダラジャンを持ってくる前に､取り上げるべき人たちがあるのでは？という不満も（たとえばCusumanoやTushmanなど）。ドラッカーは理論家ではないですからね。それでも初学者用としては十分。ここから原著を読むようにすればよいと思います。ただし破壊的イノベーションの記述は少し理解が間違っています。低価格が強調されていますが、それはローエンド破壊型だけ。新市場破壊型は価格は関係なく、新しい評価基準によって(大容量の既存基準に対して、軽量という新基準など)市場がひっくり返されるもので、低価格である必要はありません。